花粉症外来(毎週土曜日)を開設しました!
Sublingual Immunotherapy
花粉症やダニアレルギーでお悩みの皆さまへ
日本では近年、花粉症の患者数が急増しています。2019年の調査では、5人に2人が花粉症を患っているという結果が出ており、特にスギ花粉症が全体の約4割を占めています(図1)。これは「国民病」といっても過言ではありません。
舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)は、アレルギーを根本的に改善する可能性を秘めた治療法です。長年、花粉症やダニのアレルギーにお悩みの方にぜひおすすめしたい治療法です。
舌下免疫療法とは?
舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を含む薬を、1日1回、舌の下に置いてから飲み込むことで、身体を徐々にアレルゲンに慣らしていき、アレルギー体質を改善する治療法です(図2)。この治療は、スギ花粉症とダニアレルギーに効果があることが証明されています。
治療期間は通常3〜5年で、およそ8割の方が症状の改善を実感されています。また、5歳以上のお子様にも安全に使用でき、通常の抗アレルギー薬と併用することも可能です。
当院での舌下免疫療法の流れ
1.初回診察:医師の問診後に、舌下免疫療法の説明とアレルギー検査を行います。スギ花粉やダニにアレルギーがある方は、舌下免疫療法を受けることができます。
2.初回投与:初回診察後に1週間分の薬を処方します。服用方法は、錠剤を舌の下に置き、1分間保持した後に飲み込み、その後5分間はうがいや飲食を控えていただきます。初回投与は院内で行い、アレルギー反応を確認するため、投与後30分間経過観察を行います。
3.自宅での服用:初回投与に問題がなければ、残りの薬を翌日から自宅で1日1回服用します。
4.増量:1週間後に再診し、服用状況、副作用を確認します。問題なければ薬の量を増やします。
5.再診:増量から1週間後に再診し、問題がなければ治療を続けます。
6.定期受診:その後は月に1回程度、定期的に受診し、治療効果や副作用を確認しながら治療を続けていきます。
当院の特徴
当院では、迅速な検査が可能な簡易キットを用いたアレルゲン検査を実施しています。わずかな血液を採取し、約20分で結果が分かるため、初回診察当日に治療を開始することが可能です。また、治療が長期にわたることから、当院ではオンライン診療も導入しています。初回治療は対面診療が必要ですが、2回目以降はオンライン診療が可能です(受診・オンライン診療に関するお問い合せは、こちらから)。
治療開始時期について
スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、花粉が飛散する時期を避け、6月から11月頃に開始するのが理想的です。一方、ダニアレルギーに関しては開始時期の制限がありませんので、いつでも治療を始められます。
舌下免疫療法を受けられない方
・5歳未満の方
・妊娠中、または妊娠している可能性のある方、授乳中の方
・重度の気管支喘息や心疾患がある方
・過去に舌下免疫療法で強い副作用を経験された方
副作用について
舌下免疫療法には口のかゆみや喉の違和感、耳のかゆみなどの軽度の副作用が見られることがあります。これらは治療の初期や服薬を中断して再開した際に起こりやすく、徐々に改善します。アナフィラキシーといった重篤な副作用は非常に稀で、国内での発生率は0.1%未満、死亡例は報告されていません。しかし、循環器系(動悸、息切れ、不整脈)、呼吸器系(頻回な咳、呼吸困難、喉のしめつけ感、喘息発作)、消化器系(嘔吐、持続する腹部の痛み)の異常を感じた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
また、口の中のキズや炎症のある方(口内炎など)、歯科治療(抜歯など)後は、基本的には休薬となりますので、慣れるまでは受診のうえ医師にご相談ください。発熱や疲労などで体調がすぐれない場合も無理せず休薬は可能です。
スギ花粉症とダニアレルギーの併用療法について
スギ花粉とダニの両方にアレルギーがある方は、2つの舌下免疫療法を併用することが可能です。ただし、治療の開始時期をずらす必要があります。どちらから治療を始めるかは、アレルゲン検査の結果や症状、治療開始の時期などを考慮して決めます。
最初に片方の治療を始め、安全に服用できることが確認された後に、もう一方の治療を開始します。一般的には、最初の治療を1〜2カ月続けてから、もう片方を始めることが推奨されています。2つ目の治療を開始する際も、来院して対面診療を受けていただく必要があります。
服用する順番に特に決まりはありませんが、慣れるまでは、1つ目の薬を服用後、5分間様子を見てから2つ目の薬を服用することをお勧めしています。
スギ花粉舌下錠に関するお知らせ
2024年10月現在、スギ花粉症の舌下免疫療法に用いる新規導入薬「シダキュア®スギ花粉舌下錠」が全国的に不足しています。このため、スギ花粉症に対する新規導入は、薬剤の供給が安定するまで見合わせています。供給再開の目途が立ちましたら、当院のホームページでお知らせいたします。なお、ダニアレルギーの治療は通常どおり行っていますので、ぜひご検討ください。